■教員との出会いが転機に

 クマリさんはアルコール中毒で病気の父親の下で育った。ほかに5人いるきょうだいと同じように、再利用できる物を探して何時間もごみ拾いをしたり、時には物乞いをしたりして食べ物を買うお金をかき集めていたという。

 転機が訪れたのは2010年。ストリートチルドレンなどを支援するNGO「訓練と行動による子どもの向上(CHETNA)」から派遣されたボランティア教員との出会いだった。

「教育の価値や、私のように絶望的なほど貧しい子どもにもチャンスがあることを教えてくれて、とても感動した」と当時を振り返る。

 バラクナマは2002年に全8ページ、3か月に1回の発行という体制でスタート。その後、次第に読者数を伸ばし、現在では毎月発行するまでに成長した。

 CHETNAのサンジャイ・グプタ(Sanjay Gupta)氏が大きな課題に挙げるのが、発行を継続するための資金調達。AFPの取材に「現在1部2ルピー(約3円)で販売しているが、それでも購入者はあまり多くない。5年後に主要な売り場に並ぶのが夢」と語る。

 クマリさんははCHETNAが運営する遠隔教育プログラムで学び、記者としての所要経費も同団体から支給されている。教育を終えて、その後はNGOで働き続けてホームレスを支援したいと考えている。

「私たちにとって重要な問題は、大手紙のどこもわざわざ取り上げようとしないのは良く分かってる。自分たちの立場について発言できるチャンスが持てるだけでも、大きなことなのよ」(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA