【4月14日 AFP】フランス南部アルプス(Alps)山中で昨年3月に起きたドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス(Germanwings)機の墜落事件で、犠牲者の遺族は13日、副操縦士が故意に乗客を死亡させたとして、同副操縦士を訓練した米航空学校を相手に不法死亡訴訟を起こした。

 米アリゾナ(Arizona)州フェニックス(Phoenix)の連邦裁判所に起こされた訴訟について、代理人のブライアン・アレクサンダー(Brian Alexander)氏は、「自殺した副操縦士アンドレアス・ルビッツ(Andreas Lubitz)は、アリゾナの航空訓練センター(Airline Training Center Arizona)のプログラムへの入学を絶対に許可されるべきではなかった」と語った。

 訴訟は、昨年3月24日に墜落したA320型機の犠牲者遺族ら80人を代表して起こしたもので、英国やドイツ、オランダの代理人らも参加しているという。同機の墜落では、うつ病や自殺傾向など精神衛生上の問題を長年抱えていたルビッツ副操縦士を含め、150人が死亡した。

 ルビッツ副操縦士は、2010年11月から2011年3月までATCAでパイロット訓練を受けた。ATCAは、ジャーマンウイングスと同様に、独航空大手ルフトハンザ航空(Lufthansa)が所有している。

 アレクサンダー氏は、ATCAが「よく宣伝している『厳格な』基準の適用を怠ったために、ルビッツの深刻な精神疾患の病歴を発見できなかった」と語り、同基準が適用されていれば、ルビッツの入学は許されなかったはずだとして、ATCAは「怠慢だっただけでなく、不注意、さらには無謀でさえあった」と指摘した。

 訴状によると、原告は特定額の賠償を求めていないが、「愛する人を殺されたことによって続く痛みや精神的苦痛、苦悩、悲嘆、ストレス、衝撃」に対する「正義、完全かつ公平な償い」を求めている。(c)AFP/Thomas URBAIN