【4月12日 AFP】イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)を長年率いた名将アレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)氏は、男子ゴルフのマスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2016)で8000ポンド(約123万円)をすったものの、驚きの優勝を飾ったダニー・ウィレット(Danny Willett、イングランド)を祝福した。

 4日間にわたる大会を観戦するため、米ジョージア(Georgia)州オーガスタ(Augusta)に足を運んだファーガソン氏は、優勝すると予想していたジョーダン・スピース(Jordan Spieth、米国)が最終日まで余裕のリードで首位を維持していたことにより、賭けに勝利するとみられていた。

 しかし前回覇者のスピースは、12番での大だたきをはじめ、最終ラウンドの後半に大きく崩れ、伏兵のウィレットに、イングランド勢として20年ぶりとなるマスターズのタイトルを譲った。

 ファーガソン氏は、表彰式で28歳のウィレットと顔を合わせた際に、明るく賭けに負けた不満をぶつけると、その姿がテレビカメラにとらえられた。

 皮肉にも、ウィレットはユナイテッドの宿敵リバプール(Liverpool FC)のファンだった。それでもファーガソン氏は、その事実や優勝予想を外したことなど気にせず、イングランド勢としてはニック・ファルド(Nick Faldo)以来、20年ぶりにグリーンジャケットをはおったウィレットを祝福した。

 最新の世界ランクで9位に浮上したウィレットは、ファーガソン氏に「私はスピースに8000ポンド賭けていたのに」と責められると、「ああ、すみません」と笑いながら言い返していた。

 すぐに単なる冗談であることを示したファーガソン氏が、「とてもうれしい。本当に心から喜んでいるんだ。損をしても本望だ」と祝福すると、ウィレットは「本当に賭けるべき選手を知っておく必要がありますね!」と笑顔で話した。

 一昨年、英グレンイーグルズ(Gleneagles)で開催されたライダーカップ(The 40th Ryder Cup)で欧州選抜を激励するなど、大のゴルフファンとして知られるファーガソン氏は、ウィレットの優勝を目撃できたことに歓喜し、「ライダーカップやマスターズなど、ゴルフの特別な大会を経験できるなんて、これに勝るものはない」と話した。

「引退してこのような大会を観戦できるなんて、私の人生は本当に幸せだ。今でもマンチェスター・ユナイテッドの監督をしていたら、ここにはいなかっただろう。とにかく仕事が優先だからね」

「しかし、引退して今日のような日を大いに楽しむことができて、本当に最高だ」

(c)AFP