■「2つの村」意味するカルヤタイン

 カルヤタインはISにとってホムスにおける最後のとりでの一つだった。2011年に内戦が始まる以前、この町には住民約3万人が暮らし、うち900人がキリスト教徒だった。

 カルヤタインは首都ダマスカス(Damascus)とホムスの中間に位置し、レバノン国境に近いカラムン(Qalamun)地方との分岐点にも位置する。シリア軍にとっては大きな勝利だ。

 直前に政府軍が奪還した古代都市パルミラ(Palmyra)と同様、カルヤタインも完全に廃虚と化している。店舗の窓ガラスは割れ、建造物は崩壊しているか銃弾の穴だらけになっているかのいずれかだ。

 ISに制圧された際、町には277人のキリスト教徒が残っていた。そのうちの1人は処刑され、10人は爆撃で死亡した。ISに拘束されたままとなっている人も5人いる。モラウド神父によると、残りのキリスト教徒は2015年にここから逃げたという。

 カルヤタインとは、アラビア語で「2つの村」という意味だ。この町はかつて、キリスト教徒とイスラム教徒が共存していた象徴的な場所だった。

 言い伝えによると、6世紀にアラブ人がやって来たときに、町を代表する家族の一つがイスラム教に改宗し、残りはキリスト教のまま残ったとされる。これは、お互いを守るための手段だったと考えられている。(c)AFP/Sammy Ketz and Maher Al Mounes