■彫られた落書きは消せない

「自筆」を意味する「オートグラフィー(Autography)」と名付けられたこのアプリは、フィリッポーニ氏いわく「前例がない」。今年3月から利用できるようになったばかりだが、同じように落書きに悩まされている他の場所にも、アプリを販売できればと期待している。

 端末は鐘楼の1、3、4階に1台ずつ設置されており、メッセージなどはオンライン上(http://autography.operaduomo.firenze.it/)に保存される。最初の1週間で、思い思いの落書き700点以上が集まったという。

 壁の洗浄作業では、ペンや絵の具で書かれた落書きの大半は何とか落とせるが、石に刻み込まれてしまった言葉は、どんなに頑張っても消し切ることができない。

 それでも保存作業員らは必死に落書きを消し続ける。来年には、れんが造りとしては世界最大とされる大聖堂ドームの洗浄に取り掛かることになっている。そこにもやはり、同じアプリを搭載したタブレット端末が設置される予定だ。(c)AFP/Laure BRUMONT