■栗とキヌアのブレンド粉で小麦粉を代用

 フランスでミシュランの星を獲得しているグルテンフリーのレストランは今のところサミュさんの店だけだが、最近では「グルテン抜き」の要望に応える準備を整えたトップレストランも増えているという。

 ナディアさんは栗とキヌアのブレンド粉を使うことで、従来は不可能とされていた菓子生地のグルテンフリー化も成し遂げた。

 リング状のシューに、プラリネ(ローストしたアーモンドにカラメル状にした砂糖をかけたもの)風味のクリームをたっぷりあしらった定番の「パリーブレスト」をアレンジし、小麦粉の代わりにかぼちゃの粉とアーモンドエッセンスで作った「パリールマラン」は同店を代表するデザートになっている。

 100%グルテンフリーを実現するには、トレーサビリティー(生産・流通過程の追跡可能性)も徹底しなければならない。サミュさん親子は材料の仕入れには細心の注意を払い、一部は自ら有機栽培もしている。

 サミュさん親子は、グルテンフリー料理というと仏国内では一時的なブームに便乗しているとみなされてしまいがちなため、「積極的な啓発活動」が必要だと強調している。

 世界のトップシェフらにグルテンフリーキュイジーヌを、また見習い中の研修生らにはアレルギーや食物の安全性、トレーサビリティーについて教えているナディアさんは、「私たちは何を食べているのかを知るべきだ」と語った。(c)AFP/Beatrix Baconnier Martin