【3月17日 AFP】現在試験段階にあるデング熱ワクチンが、初期臨床試験で100%の有効性を示したとの研究結果が16日、発表された。この成果で、ジカ熱に対するワクチン開発のペースが加速する可能性もあるという。

 ジカウイルスと同じフラビウイルス属に分類されるデングウイルスは、蚊が媒介するものとしては世界で最も広範囲に影響を及ぼしており、世界120か国以上約3億9000万人が毎年感染している。

 年間200万人あまりがデング出血熱を発症している。デング出血熱は、激しい頭痛、目の奥の痛み、発疹、関節や筋肉や骨の痛み、血液成分の血管からの漏出などの症状を伴う場合がある。軽い症状を伴うがケースが大半だが、毎年2万5000人あまりが、デング出血熱で死亡している。

 研究を主導した米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)ブルームバーグ公衆衛生学部(Bloomberg School of Public Health)のアナ・ダービン(Anna Durbin)准教授(国際保健学)は、これまでに判明していることを踏まえると、「ワクチンが効果的であることを確信できる」と話している。

 今回の研究では、「TV003」として知られるワクチン候補について、48人のグループを対象とする臨床試験を実施した。うち半数の24人にはTV003ワクチンを接種し、残りの24人にはプラセボ(偽薬)を与えた。

 米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが開発したTV003は、デングウイルスの4種の血清型(1型、2型、3型、4型)をそれぞれターゲットとする、生きた弱毒化ウイルス4種の混合物でできている。

 ワクチン接種から6か月後に、両グループを弱毒化した2型デングウイルスにさらした。2型は、4種の中で最も予防が困難なウイルス株だ。

 15年にわたり開発が続けられているTV003に関するこれまでの研究では、同ワクチンが1型、3型、4型のデングウイルスに対して有効な予防効果を示すことが判明していた。

 だが、ジョンズ・ホプキンス大が発表した声明によると「TV003の2型デングウイルスを予防するように設計された部分が、他の3成分と同程度の強さのヒトの免疫反応を誘発しなかった」という。

 研究チームは今回、抗体反応だけにとどまらず「血中ウイルス量、発疹、白血球数の減少などの、実際に感染が起きている兆候」を調査した。