【3月16日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の特使を務める米女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんが、シリア内戦の発端となった反政府デモの発生からちょうど5年となった15日、レバノンの荒れ果てた状況下で生活するシリア難民家族らの元を訪れた。

 ジョリーさんは「今は欧州の難民の状況について注目が集まっていますが、最大の苦難は過去5年間も現在も、中東と北アフリカにあることを絶対に忘れてはいけません」 と述べた。

 ジョリーさんはレバノン東部ベカー高原(Bekaa Valley)のテントに住んでいる、4人の子を持つ女性(38)と面会。UNHCRによると、この女性は3年前シリア国内で狙撃兵に撃たれて体がまひしてしまった。

 だが、「(面会の間に)彼女が話したのはただ一つ、子どもたちが学校に行けてよりよい暮らしができるようになってほしいということだけでした」とジョリーさん。

 ジョリーさんはこの後、レバノンの首都ベイルート(Beirut)を訪れ、劣悪な環境の集団避難所で病気の危険にさらされながら家族と暮らす女性たちのグループと会った。

 以前にもレバノンのシリア難民を訪問しているジョリーさんは、戦争のために自国からの避難を余儀なくされた500万人近くの人々への支援を強化するよう各国政府に訴えた。

 ジョリーさんは、小さなレバノンでさえ100万人以上の難民を受け入れているのだから恐れに負けてはいけないと述べ「世界中の政府は指導力を発揮しなければならない」と語った。

 2011年に民主主義を求めて平和的に行われていた反政府デモが政府の残虐な弾圧を受けてシリア内戦が始まって以来、500万人近くが国外へ避難し、650万人が国内で家を追われている。(c)AFP