【3月16日 AFP】内戦下のシリアで空爆を続けてきたロシア軍は15日、撤収を開始し、軍用機の第1陣が本国に帰還して熱烈な歓迎を受けた。欧米諸国は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が命じたこの撤収がシリア政府に圧力をかけ、和平協議に弾みがつくことを期待している。

 6年目に入ったシリア内戦の終結に向けた和平協議は14日に再開。仲介役を務めるスタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)国連(UN)特使は、ロシア軍の撤収発表は和平協議にとって「重要な展開」との認識を示した上で、「協議の前進にプラスの影響を及ぼすよう望んでいる」と述べた。

 プーチン大統領は14日、ロシア軍の主要部隊をシリアから撤収させるよう命令した。ただクレムリンは、長年の同盟相手であるシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に圧力をかける狙いについては否定している。

 ロシアはシリア国内に持つ空軍と海軍の基地への部隊駐留は継続し、高官によると「テロリストを標的とした」空爆も続ける方針だ。

 在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表はAFPの取材に、シリアに残っているロシアのヘリコプターなどが古代都市パルミラ(Palmyra)周辺でイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の拠点を空爆したと明らかにした。ロシア側は公式に確認していない。(c)AFP/Max DELANY with Layal Abou Rahal in Geneva