【3月15日 AFP】太平洋での違法操業によるマグロの漁獲高が、年間最大7億4000万ドル(約840億円)という「驚くべき」額に達していることが明らかになった。南太平洋フォーラム漁業機関(Pacific Islands Forum Fisheries AgencyFFA)が15日、報告書を発表した。

 欧州連合(EU)の出資を受けて2年間にわたりFFAが行った研究は、マグロの違法漁業による影響を数値化した初の試みだ。世界に供給されるマグロの約60%が太平洋で水揚げされ、一部の小さな島国の経済はマグロ漁に支えられている。報告書は毎年27万6000~33万8000トンのマグロが、太平洋で違法に水揚げされていると結論付けている。

 また同報告書の推計では、闇市場で取引されるマグロの漁獲高は6億1600万ドル(約700億円)で、5億2000万(約590億円)~最大7億4000万ドルの間で推移しているという。

 島国は通常、広大な領海を有しているが、漁業活動を監視するためのリソースは限られている。例えば、パラオにはスペインの国土面積にほぼ匹敵する50万平方キロに及ぶ領海があるが、長距離移動できる巡視船は1隻しかない。

 今回発表された報告書によれば、違法漁業の大半は、太平洋海域での操業許可を得た底引き網漁船によって行われているという。(c)AFP