【2月20日 AFP】米国で最も著名な作家の一人で、人種差別問題を描いてベストセラーとなった「アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)」で知られるハーパー・リー(Harper Lee)氏が、死去した。89歳だった。同氏の出版社が19日、発表した。

 ニューヨーク(New York)にある出版大手ハーパーコリンズ(HarperCollins)の広報担当者によれば、リー氏は安らかにこの世を去ったという。ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)受賞作家でもあるリー氏。これまで公の場に出ることを避け、晩年は生まれ故郷のアラバマ(Alabama)州モンロービル(Monroeville)で隠居生活を送っていた。

 1926年にネル・ハーパー・リー(Nelle Harper Lee)として生まれたリー氏は4人きょうだいの末っ子で、弁護士だった父親は南北戦争で南軍を指揮したロバート・E・リー(Robert E. Lee)将軍の直系の子孫。

 1960年に出版された「アラバマ物語」は、リー氏の幼少期の自身の体験に基づき、大恐慌時代の米国南部における人種差別問題が描かれた。この作品は20世紀の米文学の偉大な傑作の一つとされ、世界中の授業でも採用されている。

 英オックスフォード大学(Oxford University)で交換留学生として学んだ後、リー氏はアラバマ大学(University of Alabama)の法科大学院を中退し、1949年に作家になる夢をかなえるためニューヨークに移り住んだ。

 幼少期はおてんば娘だったリー氏の幼なじみには後の作家、トルーマン・カポーティ(Truman Capote)氏がおり、同氏が小説「冷血(In Cold Blood)」を執筆する際にはリー氏は助手を務めた。(c)AFP/Jennie MATTHEW