【2月11日 AFP】(写真追加)テロや伝染病の流行、移民危機といった問題によって、観光客が行きたいと思う旅行先が変化し、世界の観光マップがあっという間に描き直されている。

■治安懸念でイスラム諸国に打撃

 旅行者の最近の好みの変化で最も大きな打撃を受けているのは、イスラム圏の国々だ。2015年の世界全体の海外旅行者は12億人に迫り、前年比4.4%増だった。しかし、北アフリカではかつて人気の観光地だったビーチが、閑散としている光景に目を疑うだろう。

 中でも、チュニジアとエジプトの観光業は、外国人観光客が標的となったチュニジアのリゾート襲撃や、紅海(Red Sea)に面したエジプトのリゾート地シャルムエルシェイク(Sharm el-Sheikh)を離陸したロシア機の墜落で、壊滅的な打撃を受けた。国の経済の約10%を観光業が占めるチュニジアを訪れる人は昨年、200万人減だった。

 トルコもまた襲撃の脅威による犠牲者だ。ドイツの国際旅行代理店グループTUIの9日の発表によると、先月にイスタンブール(Istanbul)で起きたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」による自爆攻撃の後、トルコへの旅行の予約は40%落ち込んでいる。

 さらに中東や北アフリカの国々について、旅行者の側があまり区別できていないとみられ、ヨルダンのように、襲撃の懸念から巻き添えを食らっている国もある。フランスの旅行会社ボヤージュ・ドゥ・モンド(Voyageurs du Monde)のジャンフランソワ・リアル(Jean-Francois Rial)会長は「すべてのイスラム諸国が、オマーンのようなまったく安全な国でさえ、多かれ少なかれ打撃を受けている」という。

 リアル氏はさらに、「唯一の例外はイランだが、イランはゼロから始めた状態」だと述べ、欧米諸国による制裁が解除され、欧州の代理店の多くはイランへの旅行提案を開始したと話した。