【2月4日 AFP】今月開催される第88回アカデミー賞(Academy Awards)で3部門にノミネートされているクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督の新作西部劇『ヘイトフル・エイト(The Hateful Eight)』をめぐり、フランスのカトリック系団体が「不法に上映許可を受けた」と主張し、仏国内の映画館での上映中止を求めている。

 伝統主義を掲げる「プロムボワール(Promouvoir)」は、デンマーク出身のラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)監督が手掛けたスリラー映画『アンチクライスト(Antichrist)』(2009年)についても上映禁止を求めてきた団体だ。

 仏パリ(Paris)の裁判所は3日、プロムボワール側の訴えを認め、『アンチクライスト』の上映許可を無効とする判決を下した。プロムボワールが同作品を司法措置に追い込んだのはこれが3回目。

『アンチクライスト』は、ウィレム・デフォー(Willem Dafoe)演じる夫とシャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)演じる妻が性行為にふけっている間に幼い子供が転落死したことから、妻が精神を病んでいき夫への暴力をエスカレートさせていくというストーリー。2009年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)では女優賞などを受賞したが、あまりに過激な暴力描写が物議を醸した。

 同作品は上映時、未成年の鑑賞は不適当とする16歳以上指定とされたが、プロムボワールは映画内に赤裸々な性描写があるとして、指定は不適当だと主張。パリ行政控訴院はこの主張を認め、仏文化省の上映指定を「誤り」だったと断じた。

 プロムボワールは昨年、性的描写を理由に、2013年のカンヌで最高賞パルムドール(Palme d'Or)を受賞したアブデラティフ・ケシシュ(Abdellatif Kechiche)監督の『アデル、ブルーは熱い色(Blue is the Warmest Colour)』など2本の映画を上映一時中止に追い込んでいる。(c)AFP/Fiachra GIBBONS