【1月25日 AFP】蚊に刺されて熱が出ても、多くの妊婦は子どもに影響が出るまでジカウイルスに感染したことに気付かないかもしれない──。

 ジカウイルス感染との関連が疑われる出生異常がここ数か月で数千件発生していることを受け、米国や中南米地域では広く警戒が呼びかけられている。新生児にみられるのは小頭症と呼ばれる病気で、先天的に頭が小さく脳への障害リスクがあるとされる。

 ウイルス感染に最も警戒が強まっているのでは、今年8月に夏季五輪が開催されるブラジルだ。ブラジルは、米国が妊娠した女性に対して渡航を控えるよう警告したカリブ海(Caribbean Sea)や中南米の14の国や地域にも含まれている。

 大会開催地となるリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)は24日、参加する選手や観客を感染リスクから守ることを約束すると宣言。人々が集まる施設を中心に蚊を根絶させる努力を強化するとした。

 ジカウイルスについて、世界保健機関(WHO)は、デング熱やチクングニア熱、黄熱のウイルスを拡散させるのと同じ蚊によって運ばれるとしている。

 WHOはこのほど、ジカウイルスの感染が最も拡大しているブラジルで、小頭症が急増していると指摘した。ただ、小頭症の顕著な増加がみられる一方で、「ジカウイルス感染と小頭症との因果関係はまだ立証されていない」ことを強調している。同国では2015年、3530件の小頭症が報告されている。過去4年の平均は同163件だった。

 胎児へのウイルス感染について、ブラジルのフィオクルーズ研究所(Fiocruz Institute)とパラナ・カトリック大学(Parana Catholic University)の科学者らは、感染した母体の胎盤を通じて行われるとの研究結果を発表している。

 汎米保健機構(Panamerican Health Organization)によると、ジカウイルスは東アフリカが起源で、蚊の一種であるネッタイシマカを通じて中南米全域に感染が拡大したのだという。

 米国による、中南米地域への渡航警告は、カーニバルシーズンとなる2月を前に出された。数か月後に開催される五輪をめぐっては、8月までに気温が少し下がり乾燥することから、蚊の活動は鈍り、問題も緩和されるとの見通しを同組織委員会は示している。(c)AFP/Rosa SULLEIRO