【1月25日 AFP】地球温暖化を食い止めようと世界が奮闘を続けるなか、グリーンランド(Greenland、デンマーク領)では気温や海水温の上昇を新たな漁業や輸出拡大、農業技術の革新につなげようとの動きがある。

■多様化する漁業

 北極海と北大西洋(North Atlantic)の間に位置するグリーンランドでは、輸出の大半を地元で「ピンク・ゴールド」と呼ばれるエビに頼ってきた。だが海水温の上昇に伴い、ほかの種類の魚もとれるようになったのだ。

 政庁所在地ヌーク(Nuuk)最大のホテル、ハンス・エゲデ(Hans Egede)のシェフ、ビヨン・ヨハンセン(Bjorn Johansen)氏は「新鮮なマグロやサバを、ここグリーンランドでも提供できるなんて素晴らしい」と話す。

 いまやグリーンランド東部の漁師たちは、夏になれば地中海(Mediterranean)やメキシコ湾(Gulf of Mexico)で産卵を終えて北上してきたサバやタイセイヨウクロマグロを水揚げする。

 これは、シェフのヨハンセン氏にとっては代わり映えしなかったグリーンランドの主要食に画期的な変化を、高齢化を支える歳入増を求めているヌークの自治政府にとっては新たな輸出機会をもたらすものだ。

 デンマーク技術大学(Technical University of Denmark)のブライアン・マッケンジー(Brian MacKenzie)海洋生態学教授は「今世紀も夏の気温上昇が続けば、グリーンランド東部沖では毎夏クロマグロが回遊するようになるだろう」と予測する。