【1月19日 AFP】モロッコ内務省は18日、昨年11月のフランス・パリ(Paris)同時テロの実行犯らと「直接関係があった」とされるモロッコ系ベルギー人の男を逮捕したと発表した。

 内務省の声明によると、容疑者の男は15日、モロッコの首都ラバト(Rabat)とカサブランカ(Casablanca)に近い港湾都市モハメディア(Al-Muhammadiyah)で逮捕された。パリ襲撃犯らのうちの「一部と直接関係」があったという。

 容疑者は、11月のテロ事件でパリ北郊サンドニ(Saint-Denis)にある国立競技場「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」付近で自爆した男と共にシリアへ渡航していたとされる。

 シリアで容疑者はまず国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」に加わったが、後にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」と接点を持った。ISは、パリ同時テロで犯行声明を出している。

 また容疑者はシリア滞在中に軍事訓練を受け、IS幹部らとも知り合った。その中に「パリのテロ事件の首謀者」もいたとされる。シリアを出国すると、トルコ、ドイツ、ベルギーを通り、さらにオランダを経由してモロッコ入りしたとみられる。

 モロッコ内務省の声明では男の名前は公表されていないが、ベルギー検察当局はゲレル・アタル(Gelel Attar)容疑者だとしている。またモロッコのニュースサイト「le360」は、同容疑者は母親の家で逮捕されたと報じている。母親はこの時、ベルギーにいたという。

 フランス検察当局は、パリ同時テロを計画したとされる人物をベルギー出身のアブデルハミド・アバウド(Abdelhamid Abaaoud)容疑者と特定。アバウド容疑者は同時テロの数日後に行われた大規模な強制捜査の最中に、警察との銃撃戦で死亡している。

 モロッコの情報当局は、仏当局によるアバウド容疑者の追跡に協力していた。また、仏当局は先週、仏テロの実行犯の一人がベルギー系モロッコ人シャキブ・アクル(Chakib Akrouh)容疑者と特定されたと発表。ベルギー検察当局によると、同容疑者は2013年、ISへの参加を目的にシリアへと渡航していた。(c)AFP