【1月17日 AFP】台湾総統選挙は16日に投開票され、中国との関係に慎重な最大野党・民進党(DPP)の蔡英文(Tsai Ing-wen)主席が圧勝し、台湾史上初の女性の総統が誕生することになった。

 民進党本部では花火が打ち上げられ、集まった大勢の支持者が与党・国民党(KMT)に対する歴史的な勝利を祝った。蔡氏は当選後初の記者会見で、台湾の民主主義は尊重されるべきだと述べるとともに、「抑圧」は両岸(中台)関係の安定に弊害を及ぼすとの認識を示した。

 台湾は1949年の内戦を経て中国と分断されてから自治を維持しているものの、独立を宣言したことはない。一方の中国政府は、中国大陸と台湾は不可分の領土だとする「一つの中国」の原則を掲げている。蔡氏が支持を伸ばした背景には、現職の国民党の馬英九(Ma Ying-jeou)総統が、近年中国への傾斜を強めた状況をめぐる市民の不安の高まりがある。

 蔡氏の勝利を受けて、中国の台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室(China's Taiwan Affairs Office)は、「いかなる形の台湾独立運動にも断固反対する」との談話を発表し、民進党をけん制した。また、中国国営新華社(Xinhua)通信の評論は、民進党の政権奪回で「両岸関係は深刻な課題に直面する」と述べ、中台関係に不安が生じているとの見解を表明した。

 記者会見で蔡氏は、「平和で安定した両岸関係の維持に努める」と抱負を述べたが、そこには民意を反映する必要があると強調した。

 蔡氏は5月20日、総統に就任する。(c)AFP/Benjamin YEH /Amber WANG