【1月8日 AFP】1億年前の恐竜たちは、足の爪で地面をひっかいて巨大な溝を掘ることで、繁殖相手の気を引く派手な誇示行動をしていたとする研究結果が7日、発表された。

 ティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)のような大型肉食恐竜や、最終的に鳥類に進化した、より動きの速い恐竜などが属する種族の獣脚類恐竜は、何らかの求愛儀式を行っていたのではないかとの説を、科学者らは長年提唱してきた。

 性選択は、進化を推進する主要因の一つとされている。雄たちは、繁殖相手となる可能性のある雌の注目と好意を獲得するために、ライバルと競い合う。

 だがこれまで、物的証拠が存在しなかったため、これらの説は推測の域を出なかった。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された今回の研究は、白亜紀に行われていた求愛行動の明確な証拠を史上初めて提供するものだ。鳥類型を除く恐竜は、約6600万年前の白亜紀末期に突如として絶滅した。

 その証拠とは、米西部コロラド(Colorado)州にある岩石層「ダコタ砂岩(Dakota Sandstone)」に、4か所にわたって数十に及ぶ2本線の溝が刻まれていることだ。溝の一部は浴槽くらいの大きさがある。

 研究論文の主執筆者で、米コロラド大学(University of Colorado)の研究者、マーティン・ロックリー(Martin Lockley)氏は、声明で「地面に巨大なくぼ地を作るこの誇示行動は、恐竜の行動に関するわれわれの理解の欠けている隙間を埋めるものだ」と述べている。