【1月4日 AFP】米オレゴン(Oregon)州で、農場主親子が国有地に放火した罪で投獄されたことに抗議する約100人の反政府的な民間武装集団(ミリシア)が、野生生物保護区を占拠し、2日目となる3日現在も立てこもりを続けている。

 占拠されているのは、同州北東部にあるマルヒュア国定鳥獣保護区(Malheur National Wildlife Reserve)。占拠しているミリシアは、反政府主義の農民や農場主、サバイバリスト(大惨事に生き残るために食糧や武器を備蓄する「生き残り主義」の信奉者)たちの緩いつながりによる集団とみられ、地元保安官事務所は「郡・連邦政府の転覆を試み、運動を全米に広げることが動機だ」との見解を示している。

 保護区から南東に約80キロ離れた町バーンズ(Burns)では2日、300人程度が集まり、農場主親子のドワイト・ハモンド(Dwight Hammond)受刑者(73)と息子のスティーブン・ハモンド(Steven Hammond)受刑者(46)の収監に抗議する穏やかな集会が行われていたが、一部の参加者らが保護区に向かい、本部を占拠した。地元保安官事務所によると、保護区本部は当時、無人だった。

 ハモンド親子は放火の罪で有罪判決を受けたが、野焼きのために自分たちの所有地につけた火が、国有地に燃え広がったと主張している。しかし司法省によれば、裁判では複数の証人が、狩猟グループを率いていたスティーブン受刑者が国有地内で鹿を不法に撃ち殺した後、メンバーにマッチを配って「国中を燃やす」よう指示したと証言したという。

 占拠集団はハモンド親子の釈放に加えて、マルヒュア国定鳥獣保護区の管轄権放棄を連邦政府に要求している。占拠メンバーの中には、2014年に公有地で放牧する権利をめぐり、反政府を掲げて当局と武力衝突した中心メンバーだったネバダ(Nevada)州の農場主、クライブン・バンディ(Cliven Bundy)氏の息子も含まれている。

 ミリシアによる保護区の占拠はインターネット上で賛否両論を巻き起こしており、中には「オレゴンのミリシアを『テロリスト』と呼ばないのは、彼らが白人でキリスト教徒だからだ」との意見もあった。(c)AFP