【12月29日 AFP】AFPは2015年の「今年の人」に、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相を選出した。欧州の移民問題やギリシャ財政危機への影響力が評価された。

 1年を通して世界情勢に最も影響を与えた人物に全世界のAFPの編集部員が投票した。2位には、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が選ばれた。プーチン氏は2014年のトップだった。

 以下、今年のトップ10を紹介する。

1. アンゲラ・メルケル独首相

 メルケル首相の移民受け入れ政策により、2015年には約100万人の難民がドイツに流入した。シリア内戦により、第2次世界大戦(World War II)以降最大数の移民が押し寄せた欧州では緊張が高まり、域内で対立も生じた。他方、欧州の事実上の指導者としてのメルケル氏のリーダーシップは、ギリシャの長期化した財政問題でも発揮された。メルケル氏は、米誌タイム(Time)の「今年の人」にも選出されている。

2. ウラジーミル・プーチン露大統領

 2014年にウクライナのクリミア(Crimea)半島を一方的に併合したことにより、ロシアは欧米諸国の経済制裁の対象となり、プーチン大統領は世界の指導者の間で孤立した。しかし、プーチン氏は今年最大の緊急課題であるシリア問題で存在感を発揮し、外交舞台の中心に復帰した。

3. ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王

 米国とキューバの国交正常化に向けた仲裁から、コロンビア政府と左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との和平交渉まで、中南米の重大な問題に影響を与えた。

4. パリ(Paris)市民

 今年1月の17人が死亡した風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社銃撃事件とユダヤ系食料品店襲撃事件の後、150万人がパリ市街に繰り出した。パリでは先月にも、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」につながりのある戦闘員らがカフェやコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」を襲撃し、130人が死亡している。パリのライフスタイルを象徴するこれら現場は、テロへの抵抗を示す場所となっている。

5. ISのアブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)最高指導者

 1年を通して姿を見せることがほとんどなかったバグダディ容疑者だが、ISはイラクやシリアの支配地域外でも残忍な戦闘行為を繰り広げた。またリビアでの存在感を高め、エジプトでのロシア機墜落事件でも犯行声明を出している。

 6位以下には、30年近く軍事政権と闘ってきたミャンマーの民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏、来年の米大統領選で共和党の指名獲得争いの首位を走る不動産王ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏、ギリシャのアレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相とヤニス・バルファキス(Yanis Varoufakis)前財務相、汚職問題で名前の挙がった国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官とイランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相がそれぞれ選ばれた。(c)AFP