【1月4日 AFP】「ぱっとしない仕事着を、パーティー用のドレスやスーツに変えてくれるガジェットがあったら」「新しい友人探しを手伝ってくれるデバイスがあったら」──そんな夢想を抱いたなら、相談すべき相手は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のマルセロ・コエリョ(Marcelo Coelho)氏(35)だ。

 MITのメディアラボで流動インターフェースを研究するコエリョ氏は、ともすれば身に着ける人よりも賢い、最新鋭のウェアラブル・デバイス(装着用端末)の開発に取り組んでいる。最も前途有望な領域の一つは、コンピューターを組み込んだ服、つまり「自分で考えてくれる服」だ。

「日中は仕事用のシャツを着ているけれど、夜はパーティーがあるからちょっと変えたいというとき、色や柄が自在に変わるよう、シャツそのものにプログラミングしておくことが可能だ」とコエリョ氏は話す。

 コエリョ氏は、祖国ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で昨年開かれたMITの会議「エムテック(EmTech)2015」で講演を行った。「エムテック」とは、実用化が期待される先端技術を意味する「エマージング・テクノロジー」のことだ。2日間の日程で開かれた会議では、この分野のリーダーたちが、未来のさまざまな技術を紹介しており、まるでSFのような開発が、無人機(ドローン)や製薬といったさまざまな分野で急速に進んでいることが伝えられた。

 技術開発について、中でもコエリョ氏がとりわけ喜びを感じるのは、研究所内での「謎」への取り組みを日常のシチュエーションに応用できた時だという。

 会議では、仕事用のシャツをパーティー用のものに早変わりさせるアイデアを基に、対人関係で役立つというデバイスを発表した。これは、話して楽しそうな相手、口説いてみたくなるような相手、逆に避けるべき人物を知らせてくれるものなのだという。

 見た目は普通の腕時計のようだが、この小型コンピューターには、フェイスブック(Facebook)上の情報をはじめ、さまざまな個人情報がプログラミングされている。室内の他の人が同じデバイスを装着していると、デバイス同士が自動で相互通信を開始する。

「リストバンド型のデバイスが他のデバイスとマッチングを開始する。何一つ共通点がない人については赤信号、共通点があれば青信号がつくといった具合だ。このような突拍子もないものが向かう先はいったいどこなんだ?と人々は思うかもしれない」と、コエリョ氏はいたずらっぽく笑った。