【12月25日 AFP】「良い」「悪い」「ばからしい」──米大統領選共和党指名争いの候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が選ぶ言葉はいつもシンプルだ。

 歯に衣着せぬ物言いで知られるトランプ氏が話す内容は、実際に、9歳の子どもでも理解できるほど簡単なのだという。

 これは、米海軍のために開発された「フレッシュ・キンケイド(Flesch-Kincaid)」指標の評価に基づくものだ。この指標は、文の長さや音節数を基準として、英語の文章の複雑さや分かりやすさを評価する。

 米ラスベガス(Las Vegas)で15日に行われた共和党の大統領候補討論会の冒頭と締めの発言に、この手法を適用すると、共和党指名獲得争いで首位に立つトランプ氏は、使われた語彙の少なさでも、討論会で対決した候補者9人の中でトップに立つ。

 トランプ氏が1分半の発言の中で使用した単語で、4音節以上のものは、全体のわずか7%にすぎなかったことが分かった。これは、9~10歳の子どもでも、彼の発言を理解できることを意味するのだという。

 億万長者の実業家、トランプ氏は通常、選挙遊説で自分の言いたいことを伝えるために、「良い(Good)」「悪い(Bad)」「すばらしい(Great)」などの単純で短い言葉を好んで用いている。

 トランプ氏は、討論会の締めの発言で「もし私が大統領に選ばれれば、われわれは再び勝てる。われわれは勝ち続け、すばらしい、すばらしい国となり、以前よりもそのすばらしさを増すだろう」と約束した。

 自身の外交政策についても、同様に簡単な言葉でまとめている。例えば、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領のことを「悪いやつ、大悪党だ」と表現している。

 米国の政治的弁論術に関する著作がある、米ベリー大学(Berry College)のピーター・ローラー(Peter Lawler)教授(政治学)は「ドナルド・トランプ氏は、政治に関するわれわれの単純な直感に訴えかけることで、聴衆を安心させようとしている」と説明する。ローラー教授がAFPの取材に語ったところによると「トランプ氏の言葉遣いは簡潔で、繰り返しが多い」のだという。