【12月22日 AFP】米魚類野生生物局(FWS)は21日、アフリカのライオンは絶滅の危機にあり、米国法の下で絶滅危惧種として保護すると宣言した。アフリカ・ジンバブエでは今年、観光客らに人気だった雄ライオンが米国の狩猟愛好家によって殺され、世界中から怒りの声が上がった。

 FWSによると、ライオンの一部特定種は現在「劇的な減少傾向」にあるため、絶滅の危機に直面しているとみられているという。ライオンは、主に西アフリカとインドに生息する象徴的な大型ネコ科動物だ。

 今回の決定は、ジンバブエで人気だったライオンのセシル(Cecil)が、米国人歯科医師に殺された件を受けて下されたもので、今後、死骸の輸出入に対する規制が強化される見通し。

 保護の対象には複数の亜種が含まれており、その一部は個体数が1400頭と少なく、「絶滅危機」にあるとみなされている。

 決定について、ダン・アッシュ(Dan Ashe)FWS局長は「われわれは今日、ライオン側の言い分を代弁している」と述べた。

 今回の決定で、ライオンの狩猟が全面的に禁止されるわけではないが、ライオンの狩猟許可の申請を望む人々に対しては「基準のレベルが大幅に引き上げられる」とアッシュ局長は報道陣に語った。

 ライオンの個体数は過去20年間で43%減少している。その原因としては、生息地の喪失、餌探しの困難さ、増え続ける人間との衝突の増加が挙げられている。

 アッシュ局長は「ライオンは、地球上で最も愛されている動物種の一つで、世界が共有する地球遺産のかけがえのない一部だ」とコメントし、また「健全な個体数のライオンが、アフリカのサバンナやインドの森林を歩き回り続けられるようにすることを望むなら、対策を講じるのは、同地域の人々だけでなく、われわれ全ての責務だ」とも付け加えている。(c)AFP