■アフガン部隊は「攻撃目標を目の当たりに」

 調査報告で触れられている内容と同じくらい重要なのは、触れられていない内容だ、と指摘するのは、ロンドン(London)の軍事専門家J・チャコ(J Chacko)氏。

 調査結果の概要によれば、米軍は標的の誤りに気付くのにほぼ30分を要した。「29分間の攻撃中に何が起きていたのか?」とチャコ氏は問うと、複数の米メディアが存在の可能性を報じている操縦室の記録や音声記録について、調査結果の概要は触れていないと指摘した。

 チャコ氏によると、地上のアフガン治安部隊は「攻撃目標を目の当たりにしていたはずだ」が、爆撃中の治安部隊の行動についての説明は「特に乏しい」という。

 また、匿名で取材に応じたアフガンの安全保障専門家は、アフガン治安部隊は「これが正しかったかどうかは分からないが、タリバンが病院内にいて、排除しなければならないとの考えから」米軍に標的の誤りを早急に伝えなかった可能性があるとの見方を示した。

 米軍の誤爆については、戦争犯罪に当たる可能性があるとの声も上がっている。MSFの報告書によると、攻撃は1時間ほど続き、患者はベッドに取り残されたまま炎に包まれ、首や身体の一部が切断された人もいた。逃げ惑う人々を攻撃機が機銃掃射したとの目撃証言もあるという。

 MSFは、独立機関による調査を再三にわたって要求している。クラーク氏は、「10月3日の夜に起きたことは、規則の放棄を意味するように思える」「独立機関による調査を要求する声が続いているのも、驚きではない」と述べた。

 米当局は、3000ページにわたる完全な報告書は編集が終わり次第公表するとしている。(c)AFP/Issam AHMED / Sarah TITTERTON