【12月1日 AFP】新しいバービー(Barbie)人形は、知的で「つながって」いる──。この「つながり」をめぐり、一部の消費者団体からプライバシー侵害のリスクがあるとの声が上がっている。

 米玩具メーカー大手マテル(Mattel)から今年発売となったハイテク人形「ハローバービー(Hello Barbie)」は、子どもたちが話しかけると返事をする機能を搭載しており、人気のクリスマスプレゼントとみられている。人形との会話は、話しかけた言葉がWi-Fi接続を通じてインターネット上の「クラウド」サーバーを介することで初めて可能となる。サーバーは人工知能を使い、個別に返答を行う。

 この人形が採用しているシステムについて、過度の商業主義から子どもたちを保護する消費者団体「Campaign for a Commercial-Free Childhood」は、プライバシーを侵害するリスクが大きすぎると指摘している。

 同団体の声明によると、子どもがバービーのベルト部分を押しながらしゃべると、その内容はすべてクラウドサーバーに伝達・保存され、マテルの技術提携会社であるToyTalkによって分析されるという。

 同団体は、録音された子どもたちの言葉が、ToyTalkや提携会社の従業員らに聞かれる可能性があり、またこうした提携会社について、ToyTalkは公表していないと注意を促している。

 また、新しいバービー人形がマーケティングのためのツールになる可能性も指摘されている。メーカー側は、そのような目的での使用はしないと約束しているが、団体は懐疑的だ。さらに、ハローバービーには、ハッカーにとって絶好のターゲットとなる危険性もあるという。家庭用機器やネットワークに家族が保存したデータが、人形を通じてアクセスされる可能性があるというのだ。

 Campaign for a Commercial-Free Childhoodは、このようなリスクの他にも、ハローバービーには子どもの創造性を阻害する可能性があると主張しており、保護者らに人形を購入しないよう呼びかけている。先月にはハッシュタグ「#HellNoBarbie」を使ったオンライン上の活動も開始している。

 現時点で、マテル社からのコメントは出ていないが、ToyTalkは先週ブログへの投稿で、「ハローバービーの設計には、多くの安全機能が組み込まれている」と述べていた。(c)AFP/Rob Lever