【11月20日 AFP】フランスのマニュエル・バルス(Manuel Valls)首相は19日、パリ(Paris)同時テロの容疑者の一部は欧州の移民危機に便乗して人目につかず「忍び込んでいた」と指摘し、欧州連合(EU)は境界管理の「責任を持つ」必要があると警鐘を鳴らした。

 同日には、パリ同時テロの首謀者とされるモロッコ系ベルギー人のアブデルハミド・アバウド(Abdelhamid Abaaoud)容疑者が、18日にパリ北郊で行われた警察の強制捜査で死亡したことが確認された。アバウド容疑者はひそかに欧州入りしていたとされる。

 バルス首相は、「欧州が責任を持って」境界管理を行っていかなければ、シェンゲン(Schengen)圏という体制そのものが「疑問視されることになる」と指摘し、隣国に対し「きちんと役割を担う」よう要請した。

 26か国からなるシェンゲン圏内では、パスポートなしでの自由な往来が認められている。しかし今年に入り、欧州が第2次世界大戦(World War II)以後最大の移民危機への対応に苦慮する中、シェンゲン体制は大きな緊張下にある。

 同域には今年だけで80万人以上の移民・難民が流入。バルス首相はパリ同時テロの実行犯の一部がその混乱に便乗したという見方を示した。(c)AFP