■「自分の子どもに与えたくないものはお客さんにも提供したくない」

 環境や人間の健康に配慮した農業を目指すフランスの非営利団体によると、牛に与える飼料によっては、吐き出すメタンガスを最大65%削減することも可能だという。しかし、経済的な制約と牛乳の質、牛の健康のベストバランスを保つために、同団体は、より控えめな20%を削減目標として掲げている。

 ただ、この取り組みに参加するフランスの農場600か所すべてがブリザールさんのように積極的に取り組んでいるわけではないのも実情だ。同団体の共同創設者で農学者のピエール・ベイユ(Pierre Weil)さんは、「飼料にトウモロコシを使っている農場で、アマニを少し取り入れてみるというのも良い。すべてを変える必要はない」と話す。

 ブリザールさんの農場では今の取り組みによって飼料費は抑えられているものの、金銭面の恩恵は少ない。これは、牛乳の価格下落によるところの影響も大きい。それでも、ブリザールさん夫婦は飼料や土壌に自然なものを使うという決断に後悔はないという。

「自分の子どもに与えたくないものはお客さんにも提供したくない」──ブリザールさんは、幼少の頃に父親が話していたという言葉に触れながら、「この言葉が今の自分を形成している」と語った。(c)AFP/Emmanuelle MICHEL