【2月17日 AFP】気候変動の加速とそれに伴う農業生産への影響が懸念される中、増え続ける世界人口を養うためには今後数十年間で大規模な社会変革が必要との報告が、米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次総会で発表された。

 科学者らによると、現在約70億人の世界人口は、2050年には約90億人に増加すると予測され、今後35年間で食糧生産は倍増される必要があるという。

 米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)の気候学者、ケニス・クンケル(Kenneth Kunkel)氏は、地球温暖化が米中西部のトウモロコシに与える影響についての研究を行った。米中西部では、干ばつが食糧の安全保障に対する最大の脅威となっている。

 米カリフォルニア(California)州サンノゼ(San Jose)で12日に開幕したAAASの年次総会の初日には、米中西部の干ばつが21世紀には前世紀よりも深刻化し、地域住民への脅威となるだろうとの報告が上がった。

 ただ、米ミネソタ大学(University of Minnesota)の農業の専門家、ジェームズ・ガーバー(James Gerber)氏は、残飯を減らし赤身肉の消費を削減すれば、気候変動の抑制に効果が得られる可能性があると指摘する。

 家畜の群れの規模を縮小することによって、温室効果ガスの一つであるメタンガスの排出が抑制されるなど、環境への影響を緩和できるという。(c)AFP/Jean-Louis Santini