【11月10日 AFP】フランス政府は9日、女性が公共交通機関で日常的に体験する粗野な言葉や痴漢行為、性的暴力を撲滅するための意識向上キャンペーンを開始した。

 全国のバスや鉄道、地下鉄の駅に掲示されたポスターは、架空の地下鉄の駅を舞台にしたもので、こんなせりふが載っている。「こんにちはマドモアゼル。君はかわいいね。もっと知り合おうよ。そのミニスカートは僕のため?」

 せりふは次第に過激になっていく。「おまえってセクシーだな、興奮するぜ。何とか言えよ、アバズレ」。そして「いいかげんにして、もうたくさん」

 政府の狙いは、セクシュアルハラスメントに関する意識を高めることにある。セクハラは世界的な問題で、米ニューヨーク(New York)から英ロンドン(London)までさまざまな大都市で同様のキャンペーンが行われている。ポスターの下には「女性の日常生活がこんなふうであってはならない」と書かれている。

■被害者には対処法、周囲には介入法

 女性には、セクハラ行為への対処法について助言も行われている。他の乗客にスマートフォンから顔を上げ、女性が巻き込まれている問題に介入するよう促したり、痴漢行為を働いた相手に対して刑務所で5年間過ごす可能性もあることを思い出させたりすることなどだ。

 仏女性権利省は声明で「目的は全員に(セクハラに)対抗する技を与えること。それから女性への性的な攻撃が矮小化されることがないよう、行動を改めさせることにある」と述べている。

 フランスでは女性の権利運動の活動家たちが政府に働き掛けた結果、地下鉄や路上でのセクハラを標的とした撲滅キャンペーンが昨年から、ツイッター(Twitter)などソーシャルメディアも活用しつつ立ち上がっている。