【11月9日 AFP】中国の一部地域が、2.5ミクロン以下の微小粒子状物質(PM2.5)の値が、世界保健機関(WHO)が定める基準値の50倍近くに上昇して、有害なスモッグに覆われた。

 同国北東部の遼寧(Liaoning)省瀋陽(Shenyang)では8日、市の環境保護当局のデータにより、PM2.5の値が1立方メートル当たり1157マイクログラムに達したことが分かった。深刻なスモッグは、冬の到来によって使われ始めた、石炭を燃料とする公共の暖房設備や、重度に汚染された大気が他省から流入することが原因とされている。

 隣接する吉林(Jilin)省の省都、長春(Changchun)では9日、大気中を浮遊し、人体に有害な影響を与えるPM2.5の値が、1立方メートル当たり860マイクログラムに達した。

 WHOは、健康に害を及ぼさないPM2.5の値として1立方メートル当たり25マイクログラムの維持を推奨している。

 長春市当局はソーシャルメディア上で、「レベル3」の緊急対応策を開始したとし、学校に対しては屋外活動を中止し、住民に対しては屋内にとどまり健康上の予防対策を取り、外出の際は環境に優しい移動手段を用いるよう指示した。

 中国の慢性的な汚染問題は数十万人の死亡例と関連しているとされ、政府に対する不満の大きな要因ともなっている。

 PM2.5は、心臓疾患や脳卒中、さらには肺気腫やがんなどの肺疾患などの一因とされている。(c)AFP