【11月7日 AFP】北朝鮮が国家の成功と繁栄のイメージ向上に首都・平壌(Pyongyang)を用いていることについては、「党幹部の遊び場」に過ぎないレジャー施設を誇示する「ポチョムキン村」(見せかけ)だとの評判が定着している。

 平壌は閉鎖的な都市で、全人口2500万人の1割に当たる人々のみが居住を許され、国民の大半にとっては夢でしかない生活を享受している。だが最近では、ショッピングや休養・娯楽施設を楽しむことができるのは、平壌の高級官僚だけではなくなってきているようだ。

 北朝鮮は1990年代半ばから終わりにかけて飢きんに見舞われ、国家の食料配給制度は壊滅的に機能しなくなった。この間、民衆の間には生き延びるために自給自足の精神が芽生え、ここから国家に厳重に監視されながらも容認された草の根の資本主義的動きが生じた。その結果、自由に使える金と時間を持った起業家精神あふれる中流階級が台頭してきた。

 中流階級の台頭は、平壌市内で見かける携帯電話を利用する人の多さや、大通りを行き来するタクシーの増加、街角の若い女性たちのファッションなどからもみてとれる。

■「独裁制資本主義」

 アンドレイ・ランコフ(Andrei Lankov)氏など北朝鮮事情に精通した専門家によると、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記は、民間企業に活動の余地を与えつつ、その発展に関する絶対的な政治支配は維持する「独裁制資本主義」を推進しようとしているようだ。

 こうした制度から恩恵を受ける人々は、平壌市内に新規オープンしたレストランで食事をしたり、イルカショーを見に家族で出かけたりすることができる。

 金第1書記は2011年の就任以降、テーマパークやしゃれた乗馬センター、スキーリゾートに至るまで、費用がかさむ、さまざまな規模や嗜好の「レジャー」事業を幾つも推し進めてきた。

 しかし国連(UN)によれば、北朝鮮では国民の70%が依然、「食料不足」の状態にあり、資金不足によるインフラ未整備が原因で、洪水や干ばつの影響を受けやすい地域が多いという。