異常気象の一部、気候変動の影響で激化 研究
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【11月6日 AFP】昨年起きたヒマラヤ山脈(Himalayas)の猛烈な吹雪、アルゼンチンの熱波、南フランスの豪雨は、すべて気候変動により事象が激化したものであるとする研究論文が5日、科学者らによって発表された。しかし、論文「気候から読み解く特異な現象2014年度版」によると、欧州を襲ったハリケーン「ゴンサロ(Gonzalo)」やブラジルの干ばつなどは、地球温暖化の影響によるものではないとしている。
今回の研究では、32の科学者グループを含む全世界の専門家らが、28件の嵐や干ばつ、火災、洪水を分析し、人為的な要因による気候変動と土地開発が異常気象に及ぼす影響を調べた。
論文の主執筆者で米海洋大気局(NOAA)国立環境情報センター(National Centers for Environmental Information)のステファニー・ヘリング(Stephanie Herring)氏は、「地球規模で、熱波がより一般的になってきている」と指摘。一方、降雨や降雪に関しては、人為的要因かどうかで意見が分かれたと語った。
また同氏は、すべての異常気象が研究対象になっていたわけではないため、論文は昨年の異常気象を包括的に説明したものではないと注意を促した。
それでも、熱波や高温に関する事象では、気候変動が要因となったことがほぼ明確に示されており、その影響は約95%検出できた。一方で、降雨に関する事象はより不明確で、人為的要因の気候変動や土地活用が原因とみられるものは、約40%にとどまった。
論文ではまた、地球温暖化をもたらす化石燃料の燃焼や土地開発、利水の変化といった人為的な影響により、干ばつや洪水、山火事がより破壊的なものになる可能性にも言及している。
例えば、カナダ南東部の洪水は気候変動と土地利用の両方が影響しているとし、ハワイ(Hawaii)の熱帯低気圧や南仏セベンヌ山地(Cevennes Mountains)の豪雨、韓国や中国の熱波、2013年12月のアルゼンチンの熱波は、人為的な気候変動によるものとしている。
さらに、東アフリカの干ばつや、昨年ジャカルタ(Jakarta)を襲った洪水、2014年に40人以上が死亡したヒマラヤ猛吹雪、オーストラリアの熱波の激化にも人為的な気候変動が影響しているとした。
一方、人為的要因ではないとみられる異常気象には、2013~14年の冬に北米の大半を襲った猛烈な嵐が挙げられる。この嵐は「主として自然変動によるもので、人間が原因の気候変動ではない」と同論文は指摘している。
英国諸島(British Isles)を襲った記録的な数の暴風や、英国の異常な降雨、欧州に影響を及ぼしたハリケーン「ゴンサロ」、北東アジアや中国、シンガポールの干ばつは、気候変動によるものではないという。
中東の干ばつについては意見が分かれ、シリアでは気候変動が原因とする論文が一つあるが、中東地域全体を包含するその他の研究論文では、気候変動による影響ではないと主張している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN