【3月26日 AFP】フィリピンを襲った超大型の台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)やオーストラリアの干ばつなど2013年に相次いだ異常気象は、人為的な気候変動で予期される結果と一致しているとする年次報告書を国連(UN)の世界気象機関(World Meteorological OrganizationWMO)が24日、発表した。

「2013年に起きた異常気象の多くは、人為的な気候変動の結果としてわれわれが予期していたものと一致していた」と、WMOのミシェル・ジャロー(Michel Jarraud)事務局長は述べた。「降水量が増え、酷暑も増加した。またハイエンが悲劇的に示したように、海面上昇の結果として高潮や洪水の被害が増えた」

 個々の異常気象事例の要因は複雑に絡み合っているため、要因を人為的な気候変動だけに結びつけることはできないものの、明確な傾向があるという。ジャロー事務局長は昨年のオーストラリアの記録的な熱波のデータを示し、人為的な温室効果ガスの排出がなければ「ほとんどあり得ない」気象だったと語った。

 2013年には他にも、欧州や米国を襲った寒波や、インドやネパール、中国北部、ロシア、中欧、スーダン、ソマリアなどの洪水、中東での降雪、中国やブラジル、アフリカ南部、米西部での干ばつなどの異常気象が発生した。

 報告書によると2013年の地表と海面の平均気温は、1961~1990年の平均より0.5度高く、2001~2010年の平均より0.03度高い14.5度で、観測史上6番目に高い年だった。また、観測史上最も気温の高かった上位14年のうち13年が、21世紀に集中している。

 だが現状、工業や輸送、農業などによる排出と森林伐採が相まっての温室効果ガス排出を削減する政策については、ほとんど合意がなされていない。「認識は高まっているものの、まだ意志決定には至っていない」とジャロー氏は警鐘を鳴らした。(c)AFP/Jonathan FOWLER