【11月4日 AFP】英国文化を代表する男性7人と女性2人を取り入れた英国の新旅券(パスポート)のデザインが3日に発表されたところ、性差別だとの批判を浴び、論争を招いている。

 英国の新しいパスポートは偽造を困難にするために複雑なデザインを採用し、劇作家ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)など歴史上の文化人らの肖像や作品を配した異なる図案を各ページに印刷している。

 しかし取り入れられた文化人らのうち、女性は数学者のエイダ・ラブレス(Ada Lovelace)と建築家のエリザベス・スコット(Elisabeth Scott)の2人だけ。男性はシェークスピアの他に数学者のチャールズ・バベッジ(Charles Babbage)、画家のジョン・コンスタンブル(John Constable)、彫刻家のアントニー・ゴームリー(Antony Gormley)とアニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)など計7人で女性より多い。

 男女平等を訴える人権団体フォーセット・ソサエティー(Fawcett Society)のサム・スミザーズ(Sam Smethers)会長は「英国の偉大な女性たちはたたえられ、人の記憶に残るよりも、歴史から抹消されている。まったく受け入れがたい」と述べた。

 ソーシャルメディア上では議論の嵐が沸き起こり、野党議員らはインターネット・ユーザーに対し、絵本作家のビアトリクス・ポター(Beatrix Potter)、小説家のジェーン・オースティン(Jane Austen)やバージニア・ウルフ(Virginia Woolf)といった女性文化人を取り入れるよう内務省に要求しようと呼び掛けている。

 しかし、英旅券局のマーク・トムソン(Mark Thomson)氏は、新デザインを擁護し「女性は2人だけにしようと言って、考えたわけではない。英国中のさまざまな場所やものを考慮した。16ページという限られたスペースの中で、英国を真に象徴する人物のうちの数人が並んだと思う」と述べた。

 英国のパスポートのデザインは5年で変更される。(c)AFP