【10月26日 AFP】英経済紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)は25日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制逃れ問題に関連し、欧州連合(EU)の内閣にあたる欧州委員会(European Commission)の環境担当委員が2013年に、自動車メーカーが欧州で排ガス試験の不正に及んでいると警鐘を鳴らす書簡を、他の委員に対し送っていたと報じた。

 自動車業界における史上最大級のスキャンダルとなったVWの排ガス不正問題は、今年9月に発覚。VWは、製造した約1100万台に当局の排ガス試験を不正に通過させるソフトウエアが搭載されていたことを認めている。

 フィナンシャル・タイムズは、この2年前に欧州委員会の委員が自動車メーカーの規制逃れを認識していながら、この抜け穴を放置していたことが、委員の間でかわされた書簡から明らかになったと報じている。

 同紙によると、欧州委員会のヤネス・ポトチュニク(Janez Potocnik)環境担当委員(当時)は2013年2月にアントニオ・タヤーニ(Antonio Tajani)産業・企業担当委員に宛てた書簡のなかで、「排ガス試験サイクルの狭い範囲の外で排ガス量が著しく増加することを無視する形で、試験サイクルに合格するよう性能が厳密に調整されているとの懸念が広がっている」と指摘していた。

 米当局は9月、排ガス試験下であることを検出すると排出量を調整する一方で、実際の走行時には基準値を超える有害物質の排出を可能にする装置を、VWが車両に搭載していたと公表していた。(c)AFP