【10月26日 AFP】シリアの文化遺産の破壊でメディアのヘッドラインを独占しているのはイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」かもしれないが、遺産を破壊しているのはISだけではないとする研究が21日、発表された。シリア政府軍や、クルド人武装組織などの反体制勢力も大きく関わっているという。

 研究は、米ダートマス大学(Dartmouth College)の中東地域の考古学専門家が主導。シリアに推定8000か所ある遺跡のうち、1300か所近くの遺跡の衛星画像を分析し、専門誌「近東考古学(Near Eastern Archaeology)」に発表した。

 報告書によると、略奪を受けた遺跡の割合はクルド人勢力やその他の反体制派が占拠している地域では26%以上で、IS支配地域の21.4%を上回った。シリア政府の支配地域では16.5%だったという。

 クルド人勢力などの反体制派が支配する地域では一般的に小規模な略奪が行われていたのに対し、大規模な破壊の大半はISの支配地域で起きていた。

 報告書はIS支配地域の略奪のうち42.7%を大規模な略奪と分類。シリア政府支配地域では同22.9%、反体制派支配地域では同14.3%、クルド人支配地域では同9.4%だった。(c)AFP/Jennie MATTHEW