【10月20日 AFP】ファストフード大手KFCの南アフリカ支社が、今夏に起きたサーフィン大会でのサメ襲撃の事件をパロディー化したCMを展開していることを受け、サメに襲われた選手の家族が19日、同社に対し猛抗議した。サメの襲撃は、今年7月中旬、南アフリカ・東ケープ(Eastern Cape)州のジェフリーズベイ(Jeffreys Bay)で開催されたサーフィン大会で起きた。

 サメに襲われたのは、3度世界王者に君臨しているオーストラリア人選手のミック・ファニング(Mick Fanning)さん(34)。ファニングさんは、迫る巨大なホオジロザメをかわし、間一髪で危機を逃れた。この時の様子はテレビで生中継され、その生還劇は世界中で報道された。同選手はすでに競技への復帰を果たしている。

 KFC南アフリカは、大きな波に乗るファニングさんに似た人物の頭上に、CGのサメが泳いでいるような新商品CMを制作。これにファニングさんの家族が強く反発した。

 ファニングさんの母親のエリザベス・オズボーン(Elizabeth Osborne)さんは、豪フェアファックス・メディア(Fairfax Media)の取材に対し、「本当に失礼だ」と怒りをあらわにした。

 取材でオズボーンさんは「動画にそっくりさんが使われている。サメに襲われたことのある人が見れば、強いトラウマがよみがえってくるに違いない」「家族を失った人もいれば、四肢を奪われていまだに恐怖心にさいなまれている人もいる。無神経なCMでミックも不愉快だ」とコメントした。

 オズボーンさんによると、ワールド・サーフリーグ(WSL)は、KFC側に対し、CMの早期打ち切りを求める法的措置の準備をしているという。

 同件をめぐって、KFCオーストラリアは、南アフリカ支社とは距離を置く姿勢を示している。豪KFC広報担当者はAFPに対し「あの広告は南アフリカで制作された。KFCオーストラリアは国内事情に細心の注意を払っており、あの手のCMを本国で放送する考えはない」との声明を発表している。(c)AFP