■プロパガンダ映像の常連に

 12年にフランス当局がフォルサン・アリザを非合法化すると、ケーニヒ容疑者は聖戦を呼び掛けるフェイスブック(Facebook)のアカウントを複数開設した。

 フランスを離れ、シリアに渡航したのも同時期だ。ケーニヒ容疑者はフランスで、南部ニーム(Nimes)出身の若者数十人がISに参加するためにシリアへ渡航した事件の捜査の一環で、捜査対象となっている。

 ISに加わるために自国を去った大勢の女性たちと同様、ケーニヒ容疑者も戦闘に参加することは許されなかったものの、プロパガンダ映像にはたびたび登場している。13年に公表された映像では、ケーニヒ容疑者がシリアで散弾銃を抱えて訓練を受けている様子が映されている。

 また別の映像では、フランスで祖母と暮らす2人の息子に向け、「自分がイスラム教徒であることを忘れないで。征服すべき敵がいる限り、聖戦は終わらない」などと呼び掛けるプロパガンダメッセージを送った。

 国連によれば、ケーニヒ容疑者はシリアからフランスの知人に頻繁に連絡し、フランスの公的機関や仏軍人の妻たちを標的にした暴力行為を実行するよう促している

 ISとの関わりを理由に米国務省によって新たに制裁の対象とされたりテロリストに指定されたりした35人には、さまざまな国籍の人物が含まれるが、このうちフランス国籍はケーニヒ容疑者を含め3人いる。

 だが印象的なのは、その中の女性の数だ。ISは、戦闘員の勧誘において重要な役割を担う若い欧米人女性の勧誘活動を強化してきている。

 IS戦闘員と結婚するために14年にシリアへ渡航したと伝えられているスコットランド人のアクサ・マフムード(Aqsa Mahmood)容疑者は、ISプロパガンダの発信源とされる英語ブログを運営している。また、英国人の元パンク歌手、サリー・ジョーンズ(Sally Jones)容疑者は、女性メンバーのISへの勧誘活動に携わっている。(c)AFP/Michel MOUTOT