【10月3日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は2日、ロシアが、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を支援して同国で行っている軍事作戦は「惨事のもと」となる行為だとして警鐘を鳴らした。一方で、米政府には、緊張を緩和するためにロシア政府と交渉する余地はまだあると述べた。

 ロシアがシリアの反体制派勢力への空爆を行うなど、シリア危機における米政府とロシア政府の見解の相違はここ数日で際立っている。だがオバマ大統領は「われわれはシリアを、米国とロシアの代理戦争の場にするつもりはない」と強調した。

 ロシアは2日、シリアでの軍事作戦をめぐりウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対して、国際的な非難が高まるなか、シリアのイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の拠点を標的にしたとする、3日目の空爆を実施した。

 欧米各国は、ロシアがシリアとの同盟関係を強化するため、「テロリスト」に対する作戦を口実に、アサド大統領に反対する穏健派の反体制派に空爆を行っていると懸念している。

 オバマ大統領は記者団に対し、プーチン大統領は「ISIL(ISの別称)と、アサド大統領の退陣を望む穏健派のイスラム教スンニ派(Sunni)の反体制派とを区別していない」「彼らの観点からは、全員がテロリストであり、それが惨事のもと」となると述べた。

 一方、シリアは、4年にわたる内戦の終結に向け、国連(UN)の和平協議に参加を予定しているが、同国のワリード・ムアレム(Walid al-Muallem)外相は2日、シリアが協議の結果に従う保証はないと述べた。

 ムアレム外相は国連総会で、スタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)国連特使が提案した和平協議は「主に意見を交換する場」で、拘束力はないものとして理解していると発言した。(c)AFP