■昔のハカも力強かったのか?

 意外なことに、歴代のオールブラックスは、リッチー・マッコウ(Richie McCaw)主将率いる現役チームほどに力強いハカを演じてきたわけではない。

 記録映像には、1920年代のオールブラックスが民族舞踊とみられるすり足の動きをしているのが捉えられている。1970年代の映像には、もみあげを伸ばした巨漢たちが、ハカを踊ったあとにきまり悪そうにチームメートと笑いあう様子が写っていた。

 1980年代末にハカに改革をもたらしたとされるのは、マオリの伝統文化に強い誇りを持っていたバック・シェルフォード(Buck Shelford)主将だ。カレトゥ氏によれば、現在のオールブラックスは観衆をわかせるためだけに踊るのではなく、ハカの文化的意義を理解してダンスをしているという。

「現在のチームはおそらくこれまでで最高のハカ演者だ」とカレトゥ氏。「ラグビー選手の威厳と様式で踊っており、しかも上手だ」

 だが現在のチームは、ハカをめぐってこれまでで最も多くの批判を浴びているチームでもある。コメンテーターの中には、相手チームにモチベーションの面で優位に立つことができて不公平だと言う人もいる。