【9月25日 AFP】排ガス規制逃れの不正が発覚した自動車大手フォルクスワーゲン(VolkswagenVW)の母国ドイツの外交官らが、重大な抜け穴が指摘されている従来の排ガス試験の継続を裏で働きかけていたことが24日、AFPの入手した流出文書から明らかになった。

 この文書はドイツの政策方針書で、欧州連合(EU)の規制機関に対し、最新の車両試験でも重大な抜け穴を残し、実際の二酸化炭素(CO2)排出量が公式結果として発表される排出量より多くなるよう要請している。

 この文書について最初に報じた英紙ガーディアン(Guardian)は、同様の要求を記した政策方針書がフランスや英国にも存在すると伝えている。

 流出した技術文書の日付は今年5月で、内容はフォルクスワーゲンの不正問題で焦点となっている窒素酸化物(NOx)ではなく、CO2排出量の測定検査に関するものだ。従来の試験NEDCから厳密な新試験WLTPへの変更点に、制限を加える方策を具体的に論じている。

 ドイツはこの文書内で、相関試験の際にEUがこれまでに提案してきた以上の例外を認めるよう求めており、下り坂で試験を行うことも例外対象に含まれている。

 市民団体「交通と環境(Transport & Environment)」のグレッグ・アーチャー(Greg Archer)氏は、EU主要国がフォルクスワーゲンの不正を批判する傍ら、秘密裏に試験の緩和を実現しようと工作していたと指摘。「VWの不正に対しEUの捜査を要求しながら、同時に新検査を甘くするためのロビー活動を裏でやっているとは、まったくの偽善だ」と批判している。(c)AFP