【9月21日 AFP】自社が呼びかけた難民支援の活動に、ブンデスリーガ2部の複数クラブが不参加の意向を表明したことを批判した独日刊紙ビルト(Bild)が、サッカーファンの怒りを買っている。

 ビルトはドイツサッカーリーグ機構(DFL)、さらにブンデスリーガのスポンサーを務める物流会社ヘルメス(Hermes)の協力の下、ブンデスリーガ1部と2部の全クラブが、今週末のリーグ戦で「WIR HELFEN #refugeeswelcome(われわれが助けます #難民の皆さんようこそ)」というロゴが入ったユニホームを着用するというキャンペーンを立ち上げていた。

 ドイツへ流れ込む難民を、ファンも一体となって支援しようという、一見したところ立派なキャンペーンだ。しかし、2部の7クラブが不参加を表明するばかりか、ファンのなかにはスタジアムでビルトを批判するような横断幕を掲げる者もおり、ドイツ最大の発行部数を誇るビルトは、味方からの手痛いオウンゴールを浴びる形となっている。

 週末のリーグ戦では、いくつかのスタジアムで、「#ビルトは御免」と書かれた横断幕が掲げられ、バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)と対戦したダルムシュタット98(SV Darmstadt 98)の本拠地、さらにはボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)やVfBシュツットガルト(VfB Stuttgart)の本拠地ではファンが声を上げ、ビルト不支持の意思を示した。

 ドイツは今年に入ってからすでに45万人の難民を受け入れており、政府の発表によれば、その数は2015年末までに100万人に達する見込みだとされている。

 今回の「われわれが助けます」キャンペーンについては、当初は1部、2部の全クラブが参加に同意していたものの、まずはザンクトパウリ(FC St. Pauli)が離脱を表明。その理由は、ビルトが行動を起こす以前から、クラブは独自に難民支援の活動を行っているというものだった。

 実際ザンクトパウリは、先日行われたボルシア・ドルトムントとの親善試合に、本拠地のあるハンブルク(Hamburg)市内の宿泊施設に入居する難民1000人以上を招待したほか、さまざまな支援活動を行っている。

 ビルトは過去に難民の受け入れに対して否定的な記事を掲載しており、今回の「われわれが助けます」キャンペーンでは、ワッペンに同社のロゴも小さく入っていることから、危機を利用してイメージをV字回復させようという意図が透けて見えるとの声も出ている。

 こうした批判があるなかで、ビルトのカイ・ディークマン(Kai Diekmann)編集長は16日、ツイッター(Twitter)に「ザンクトパウリが#難民は御免と言って『われわれが助けます』キャンペーンをボイコットしている。難民に心を寄せられないとは、なんたる恥!」と投稿して火に油を注ぎ、ドイツのサッカーファンの怒りを買った。

 今回のキャンペーンは1回限りのもので、ブンデスリーガ1部からは全18クラブが参加したが、多くのサポーターグループは声明を発表し、クラブに対して参加しないよう呼びかけていた。

 そして2部では、6つのクラブがザンクトパウリの後に続いており、デュイスブルク(MSV Duisburg)は本拠地でのFSVフランクフルト(FSV Frankfurt)戦で、「難民歓迎」と書かれた特製Tシャツを着用した。

 デュイスブルクは不参加の理由について、「このキャンペーンに参加することが、今後数週間のわれわれに暗い影を落とすことを懸念し、(われわれは助けますの)ワッペンの使用は見送ることとした」と説明している。

 カイザースラウテルン(1.FC Kaiserslautern)もまた、不参加を決めたクラブの一つだ。こちらはその理由について、「本当のメッセージが後ろに追いやられてしまう」ことを恐れたからだと話している。

 一方、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)でドイツ代表を優勝へ導いたバイエルンのマリオ・ゲッツェ(Mario Goetze)は、ハッシュタグ「#refugeeswelcome」が刺しゅうされたシューズを、試合で着用した後に競売にかけ、売り上げを支援活動に充てる計画を発表している。

 ゲッツェは16日に行われた欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2015-16)のオリンピアコス(Olympiakos)戦で、この特製シューズをはいてチーム2得点目を記録。また3-0で勝利したダルムシュタット戦でも、同じシューズを着用している。(c)AFP