【9月17日 AFP】インドの調理火、米国の道路交通、ロシアの化学肥料などのさまざまな発生源に由来する屋外の大気汚染は、世界で毎年約330万人の命を奪っているとの研究結果が16日、発表された。

 屋外大気汚染による死者の75%近くは、大気中を浮遊している塵(ちり)状粒子の長期間の吸入が主な誘因となって発生する脳卒中や心臓発作が原因で死亡しており、残り25%の死因は、呼吸器系疾患や肺がんであると、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文は指摘している。

 インドや中国で使われている調理・暖房用の火は、なかでも最大の危険因子で、屋外大気汚染に起因する死亡の3分の1はこれが原因であると、論文共同執筆者の独マックス・プランク化学研究所(Max Planck Institute for Chemistry)のジョス・レリーベルド(Jos Lelieveld)氏は指摘した。

 今回の研究で導き出された最新の数字は、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)が2014年に発表した報告書の裏付けにもなっている。同報告書では、屋外大気汚染に起因する死者数として今回と同様の数字が挙げられており、またそれとは別に、住宅や他の建物内での汚染が原因で毎年430万人が死亡しているとされた。

 国際研究チームは今回、より厳しい規制を適用しない限り、室外汚染による死者数は、2050年までに660万人に倍増すると思われるとの予測を発表。この予測についてレリーベルド氏は、「このような大気汚染による早死の増加を回避したければ、集中的な規制措置が、特に南アジアと東アジアで必要になる」と記者団に対して語った。