■ニーオルスンに近づくホッキョクグマ

 この地で20年以上働いているオランダ人の鳥類学者、マールテン・ローネン(Maarten Loonen)氏は、初めてここを訪れた当初、スピッツベルゲン西部に生息していたホッキョクグマは今よりはるかに少なかったと話す。「1988年には、(クマに関する)ガイドラインもなく、銃も携帯せずに1人でキャンプしていた」と当時を振り返った。

 クマは、より多くの氷がある寒い東部を中心に生息している。しかし、バロー氏によると、「近年はテリトリーを拡大し、ニーオルスンにも近づいてきている」という。

 7月最後の日曜日、夜明けごろにホッキョクグマの母子がニーオルスンの町を抜けて行った。事件は特に起こらなかった。

 これまでのところ、ニーオルスンの住人が襲われた事例は報告されていない。スバルバル全体でも、クマに人間が殺された事例は、過去40年で5件にとどまっている。

 しかし、食べ物が不足すると、トナカイやネズミ、魚、他の動物の卵、そして人間の生活ごみをあさることもある。ホッキョクグマと人間の鉢合わせは、そうしたタイミングで起きるのだという。(c)AFP/Céline SERRAT