【3月20日 AFP】ノルウェーの北極圏にあるスバルバル(Svalbard)諸島で、皆既日食を見るツアーへの参加中にホッキョクグマに襲われたチェコ人観光客が19日、その時の様子を語った。日食を見ようと同地域に集まる人々が遭遇する可能性のある危険を示す事例だ。

 ヤクブ・モラベツ(Jakub Moravec)さんは、血がにじむ引っかき傷をあちこちに受けながらも、ノルウェー公共放送局NRKテレビに笑顔で語った。

「僕たちがテントで寝ていたら、突然ホッキョクグマが入ってきて、寝袋で寝ていた僕を襲ってきた」「僕たちは格闘した」。クマは、その強靭なあごで頭にかみつこうと突進してきたという。

 モラベツさんと友人の悲鳴を聞いた別のテントの人々が救出にやってきて、ホッキョクグマを銃で撃ち追いやった。傷を負ったホッキョクグマは、間もなく地元当局により殺処分された。

 モラベツさんは6人のチェコ人観光グループのスノーモービル・ツアーに参加。スバルバル諸島の主要な町ロングイェールビーン(Longyearbyen)の北東約30キロにあるフィヨルドの岸で、テント2張を張っていた。

 20日の皆既日食が地上で完全に見られる場所は、スバルバルと北大西洋のデンマーク自治領フェロー諸島(Faroe Islands)だけだ。スバルバルではグリニッジ標準時(GMT)同日午前10時11分(日本時間午後7時11分)に月が地球と太陽の間を通過する。皆既日食が起きるのは3分足らず。(c)AFP