【9月6日 AFP】米国務省は5日、ジョン・ケリー(John Kerry)国務長官がロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相と電話で会談し、内戦が続くシリアにおける切迫したロシア軍部隊の増強に対する懸念を表明したことを明らかにした。

 米国務省は、「ケリー長官は(ラブロフ外相に対し)、もし報道が真実であれば、一般市民の死者数や難民の増加、ISIL(『イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant)』の略称でイスラム過激派組織『イスラム国(Islamic StateIS)』の別名)と対抗する勢力との戦闘などで、内戦がさらに悪化する可能性があると明言した」と述べた。

 同省によると、「ケリー長官とラブロフ外相は、シリア内戦をめぐる協議を、今月末に米ニューヨーク(New York)で継続することで合意した」という。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は、ロシアはシリアと協力関係を結ぶために先遣隊を既に送っており、米政府が恐れている、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領への軍事協力を増大させるための新たな手段を講じていると報道した。

 同紙は、ロシアがシリアで軍隊増強を行っているサインとして、同国空軍基地にプレハブの簡易住宅ユニットや、移動可能な航空管制ステーションの輸送が行われたことを挙げている。

 一方、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は4日、ロシアがシリアでISに対する軍事作戦に参加をするかどうかを聞かれ、現在様々な選択肢を考慮しているが、軍事作戦への参加は予定していないと述べた。

 ロシア外務省は、電話会談では、ロシアと米国が「協力」し、「シリアにおける政治的プロセスの開始を目指す国連(UN)の努力を支援する」ことが話し合われたと述べた。ラブロフ外相とケリー長官は、2011年以降、これまでに24万人以上が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされているシリア内戦終結に向け、今後も密に連絡を取り合うことで合意した。(c)AFP/Nicolas REVISE