【8月22日 AFP】(一部更新)オランダ・アムステルダム(Amsterdam)発、フランス・パリ(Paris)行きの国際高速列車「タリス(Thalys)」の車内で21日、武装した男が銃を発砲し、少なくとも乗客2人が負傷した。男は乗客に取り押さえられその後、逮捕された。男を取り押さえたのは乗り合わせていた複数の米軍兵士とみられている。

 発砲の動機は今のところ明らかになっていないが、仏検察は事件について、同国のテロ対策当局が捜査を開始したと述べた。

 警察官の一人はAFPの取材に対し、男はカラシニコフ(Kalashnikov)銃や拳銃、カッターナイフを所持していたと述べた。

 仏北部アラス(Arras)の駅で逮捕された容疑者は、モロッコ籍、またはモロッコ系の26歳の男。仏捜査当局によると、男は情報機関にも知られていた人物だという。仏首都のパリでは今年1月、イスラム過激派による襲撃事件計で17人が殺害される事件が発生しており、緊張状態が続いている。

 発砲があったのはベルギー領内を走行中で、同国のシャルル・ミシェル(Charles Michel)首相はツイッター(Twitter)で、「タリス車内におけるテロリストの攻撃を非難し、被害者の方々に心からお見舞い申し上げる」と述べた。

 捜査当局の初期段階の情報によると、容疑者の男を取り押さえたうちの2人は米軍の兵士で、容疑者がトイレの中で銃に弾丸を装填(そうてん)している音に気づき、容疑者が出てきた際に詰め寄ったという。

 負傷者は2人いるが、米国防総省は、そのうち、1人は米兵であることを認めた。命に別条はないという。

 負傷者1人が銃で撃たれ、もう1人はカッターで肘を負傷したとの情報もあるが、この2人が、容疑者の男を取り押さえた人物かどうかは、今のところ明らかになっていない。

 フランス国鉄(SNCFSociété Nationale des Chemins de fer Français)の報道官がAFPに語ったところによると、容疑者は列車が仏領の小都市アラスに停車した後に逮捕された。事件の際、列車には554人が乗っていた。

 また、SNCFの報道官は、映画『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』などに出演したフランス人俳優ジャン・ユーグ・アングラード(Jean-Hugues Anglade)さんが、列車の警報装置を作動させようとして軽傷を負ったことを明らかにした。(c)AFP/Benjamin MASSOT