■ザーネル・ヒューズ(Zharnel Hughes、英国):男子短距離

 今大会に「形だけの英国人選手」を大量招集し、批判を集めている英国代表だが、アンギラ出身で20歳のヒューズについては、その才能をすでに証明しているといえるかもしれない。

 カリブ海の島アンギラは英国の海外領のため、ヒューズは英国代表に入る資格を持っている。

 現在はジャマイカでボルトらと一緒に練習を積んでいるヒューズだが、レベルの高い環境に身を置く成果はすでに現れている。

 1メートル92センチの長身を誇るヒューズは、7月に行われたダイヤモンドリーグの200メートルで自己最高となる20秒05を記録。リーグの年間順位でも上位につけている。

■ムタズ・エサ・バルシム(Mutaz Essa Barshim、カタール):男子走り高跳び

 身長1メートル89センチで、カタール・ドーハ(Doha)生まれの24歳のバルシムにとって、今回の世界陸上は、自身の地位を確固たるものとする大会になるかもしれない。

 2012年ロンドン五輪の走り高跳びで銅メダルを獲得したバルシムは、翌2013年の世界陸上モスクワ大会で銀メダルを獲得すると、2014年の世界室内陸上(IAAF World Indoor Championships Istanbul 2014)では金メダルに輝いた。

 同じく2014年には、キューバのハビエル・ソトマイヨル(Javier Sotomayor)の世界記録にあとわずか2センチと迫る、2メートル43センチの屋外自己最高を記録している。

 この種目では、前回王者のボーダン・ボンダレンコ(Bohdan Bondarenko、ウクライナ)、ロンドン五輪金メダリストのイワン・ウホフ(Ivan Ukhov、ロシア)などライバルも多い。

 しかし、バルシムには、ケニアから国籍を変えてカタールに世界大会の金メダルをもたらした唯一の選手、サイフ・サイー ド・シャヒーン(Saif Saaed Shaheen)に肩を並べ、さらに名声を奪うチャンスがある。

 男子走り高跳びでは、そのほかにもデレク・ドルイン(Derek Drouin、カナダ)、エリック・キナード(Erik Kynard、米国)、張国偉(Guowei Zhang、中国)ら有力選手が出場する。