【8月7日 AFP】2016年のリオデジャネイロ五輪で使用される会場の水質汚染が問題視される中、競泳のマイケル・フェルプス(Michael Phelps、米国)のコーチとして知られるボブ・ボウマン(Bob Bowman)氏が6日、オープンウオーターの選手たちへの健康被害の可能性を指摘した。

 オープンウオーターやセーリングの会場で問題になるとみられる水質汚染は、フェルプスのように室内の競泳用プールを使用する選手には影響がない。

 しかしボウマン氏は、汚染された水で競技を行った選手がどうなったかという体験談を語った。

 テキサス(Texas)州サンアントニオ(San Antonio)で開催中の全米選手権(2015 Phillips 66 National Championships)の会場で取材に応じたボウマン氏は、「オープンウオーターが行われる会場の水質については、非常に懸念している」と明かした。

「2007年のパンアメリカン競技大会(Pan American Games)で女の子を指導しているときに起きたことだが、競技を終えた彼女は、すべてを変えるような病気と共に、その後の人生を生きなければならなくなった」

 ボウマン氏が話していたのは、同大会のオープンウオーター女子10キロメートルで4位に入ったカリン・ケラー(Kalyn Keller)のことだった。ケラーは大会の後、全消化管に炎症を生じる炎症性疾患のクローン病と診断され、2008年の早期引退につながったとされる。

 また、同じく2007年のパンアメリカン競技大会で銀メダルを獲得したチップ・ペターソン(Chip Peterson)も、健康上の問題と闘っているという。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で行われたレースの数週間後、ペターソンは潰瘍性大腸炎を患っていることが分かり、断続的な腹痛や、発熱、下痢、失血といった症状に苦しめられた。

「同じことだ」としたボウマン氏は、「私は身をもって、これが深刻な問題であることを理解している。どうにかしなければならない」と続けた。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は先日、リオの水質汚染に話が及ぶと、五輪のリハーサルも兼ねてコパカバーナビーチ(Copacabana Beach)で開催されたトライアスロンの大会を引き合いに出し、「すべては正しい方向へ向かっている」と述べている。

 しかしペターソンとケラーは、疾患の原因はリオで泳いだことだと確信している。

 3度の手術を経たペターソンは、現在も競技を続けており、先月のパンアメリカン競技大会で金メダルを獲得した。(c)AFP