【8月7日 AFP】2020年東京五輪のエンブレム問題で、自身のデザインが盗用されたと主張しているベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビ(Olivier Debie)氏が6日、国際オリンピック委員会(IOC)を相手取り使用権を差し止める訴訟を起こす意向であることを明らかにした。

 IOCは前週、佐野研二郎(Kenjiro Sano)氏がデザインしたエンブレムについて、何の問題もないという見解を示していた。

 佐野氏は5日に記者会見を開き、盗用疑惑について「全くの事実無根」と反論し、「世界に類のないエンブレムができたと確信した」と強調した。

 これに異を唱えるドビ氏は、弁護士を務めるフィリップ・モタール(Philippe Mottard)氏と共同声明を出し、佐野氏が自身でエンブレムをデザインしたという十分な説明が行われていないとして、法的手段に訴えることを表明した。

 ドビ氏は、「佐野氏は、エンブレムの創作過程を芸術的な見地からは何も説明していない。ただデザインの背景となっている哲学の違いを述べただけ」と批判すると、さらに「彼の説明では、私には納得できない」と述べた。

 佐野氏はエンブレムのデザインについて、東京、チーム、トゥモローを意味する「T」の字をベースとし、赤い円が心臓の鼓動をあらわしたものとなっていると説明している。

 一方、ドビ氏がデザインしたリエージュ劇場(Liege Theatre)のロゴは、黒地に白で東京五輪のエンブレムに似た形となっているが、赤い円は描かれていない。

 ドビ氏は、「二つのロゴは、どちらもTとLの文字が際立っている」と述べると同時に、使用されているフォントについても「著しく」類似していると主張した。

「総合的にみれば、2020年東京五輪のエンブレムは私の作品に酷似していると言わざるを得ない。正式に法的手段に出ることで合意に至り、早期に手続きを行う」

 提訴は、10日までに行われるとみられている。(c)AFP